自然は最適解

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自然は常に最適な解を示してくれる。

【DIY】電気を利用しない気化熱を利用した冷蔵庫を作る

春の中頃以降の暑い日は食品(特に加熱食品)が傷みやすいです。

2019年11月から冷蔵庫を使用していない生活のため、現在の梅雨の時期など食品の保存に四苦八苦、奮闘している次第です。

特に永遠のライバルは、産膜酵母で強敵です。

奮闘記は記事末の関連記事を参照して下さい。

はじめに

ナイジェリアの Mohammed Bah Abba 氏が素焼きのポットを2重にして、気化熱を利用して電気を使用しない冷蔵庫として利用しました。

これは Zeer Pot としてナイジェリアなどのアフリカで売られていて、同じような商品がインドでも広まっているようです。

このアイデアが乾燥した熱帯地域を中心に広まり、日本にも知れ渡るようになったようです。

参考:Pot-in-pot refrigerator - Wikipedia

作成方法

大きさの違う素焼きの植木鉢を2個用意します。

注意点としては、外側の鉢は釉薬が塗られていない鉢(必須)にして下さい。

そうしないと、水が側面から蒸発できずに上手く機能しません。

逆に内側の鉢は釉薬が塗ってある方が、水が染み込む心配がありません。

水抜き用の底穴をパテや耐水テープ(ゴリラテープ 等)などで塞ぎます。

今回は、スマホカバーのプラ板(不燃ゴミ)を金ノコで切断し、シリコンシーラントで内側から貼り付け、プラ板の周囲も塗り、念のために外側もシリコンで埋めました。

ゴリラテープで貼り付けるだけにすれば、楽だったと後になって氣づきました。

外側の鉢にはヒビが入っていたので、シリコンで埋めました。

植木鉢(外側)の底の水抜き穴を塞ぐ(内側)

植木鉢(外側)の底の水抜き穴を塞ぐ(外側)

次に内側の鉢と外側の鉢に隙間を作るために砂を埋めますが、砂は非常に重たく、余った場合に使い道がないので使用していません。

そこで、使用を持て余していたハイドロボールを代用しました。

外側の鉢にハイドロボールを入れて底上げ

砂の代わりに使い終わったボロ布を詰め込み、内側の鉢を入れて押し込み完成です。

砂の代わりにボロ布を詰める

外側は9号、内側は8号の手持ちの鉢を流用しましたが、1号分の約3cmしか隙間がありません。

両方の鉢に水を入れて、水漏れがないかを半日ほど確認してからの使用です。

参考:How to Make a Pot in a Pot Refrigerator: 10 Steps

空き缶版

より手軽に作成できる空き缶を利用した物も作成しました。

空き缶(ミルク缶)に速乾性タオルを巻き付けて、輪ゴムで缶に固定して完成です。

空き缶版

効果

風通しのよい日陰ではない北寄りの廊下に設置し、そこそこの風が吹いた日における、それぞれの内部温度と冷却温度です。

  • 内部温度は電子温度計、室温は電子時計を使用。
  • 電子温度計は暫くの間温度が変化し続けるため、ある程度の時間、温度変化がないときの温度としましたが、なかなか安定せず誤差を含んでいますので、傾向を読み取る程度の参考にして下さい。
種類 09:30 10:30 11:30 12:30 13:30 14:30 15:30 16:30 17:30
植木鉢 25.3(3.1) 25.7(2.3) 25.2(3.4) 25.8(2.6) 25.9(2.8) 26.8(2.9) × × 27.9(2.5)
空き缶 23.8(4.6) 23.4(4.6) 24.1(4.5) 24.6(3.8) 24.0(4.7) 23.8(5.9) × × 25.5(4.9)
室温 28.4 28.0 28.6 28.4 25.7 29.7 × × 30.4

植木鉢は約3度前後程度、空き缶は約4.5度~5.5度程(2日間のとも)の冷却です。

冷却温度の差の要因としては、以下と考えています。

  • 空き缶(ミルク缶)は大きさが小さく、スチール製で熱伝導率が植木鉢より高いこと
  • 外側の植木鉢の気化性が悪いように感じた

ちなみに、気化を高めるために空き缶を炎天下に置いてみましたが、温度が下がるどころか、置いた瞬間から0.5度も上昇したので、速攻中止しました。

植木鉢版の使用停止

翌日も使用していたのですが、内側の鉢への水の染み込みが激しくて水が溜まっていました。

また、外側の鉢にも水が溜まった状態で、雑菌が繁殖している様な嫌な臭いがしていたので使用を中止しました。

砂の代わりにボロ布を使っていたので懸念はしていたのですが、お試しは残念な結果となりました。

2回目の作成

実は一昨年(21年)の7月末に初めて作成をしました。

この時は、外側の植木鉢を8号、内側を6号、軽量化のために砂の代わりにパーライトを使用しました。

この時も約3度から4度ほどの冷却温度で、今回の場合とほとんど同じような性能でした。

砂を使用すると、もう少し冷却効果が上がるのかもしれませんね?
しかし、試す氣はありません。

砂を使用すると重たくなり過ぎ、移動が大変ですのでパーライトを使ったのです。

翌朝、下に敷いていたマットが濡れていたたため、様子を見ていたら外側の鉢(今回の内側に使用)から水が染み出ていました。

また、同時に内側の鉢にも水が若干浸透していました。

そこで、分解をして両方の鉢に水を入れて水漏れの再確認をしましたが、水漏れは確認できませんでした。

期待したような冷却効果を得られなかったこともあって、暫くしてから使用を中止しました。

今回の作成は2回目であり、初回と同様な結果となりました。

作成中の底の水抜き穴を塞ぐ写真に、初回の作成時の名残が見てとれます。

日本には不向き

この Zeer Pot は、アフリカやインドなど乾燥した熱帯地方で有効に機能するようです。

日本のように湿度の高い地域(特に現在の梅雨の時期)には向いていない、ように思います。

植木鉢版は非常に重たいので、より軽量で作成も簡単(数分で可能)な空き缶版の方が使い勝手が良いと思います。

ほとんどの方が冷蔵庫を使用しているので必要ないでしょうが、参考になれば幸いです。

読んでいただきありがとうございます。ご縁に感謝いたします。

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